原状回復の定義
原状回復とは、国土交通省が「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(きそん)を復旧すること」と定義しています。これを「原状復帰」と呼ぶこともあり、退去時に修繕や原状回復工事を行うことが一般的です。
原状回復と現状回復の違い
「原状回復」と似た言葉に「現状回復」がありますが、意味が異なります。現状回復は入居時の状態に戻すことではなく、現在の状態に戻すことを指します。
原状回復の費用
原状回復にかかる費用は、入居時に支払った敷金を充てるのが一般的です。ただし、敷金で足りない場合や、敷金を支払っていない場合には、追加で支払うことになります。
原状回復の負担範囲
原状回復の負担範囲は、借主と貸主に分かれます。
- 借主の負担範囲:
- 借主の過失や故意によって発生した汚れや傷
- 例: 手入れを怠ったカビ・水あか、飲み物や食べ物によるシミ、ものの落下で付いた傷、タバコのヤニの汚れ、ペットによるひっかき傷、鍵の紛失・破損
- 貸主の負担範囲:
- 経年劣化や通常損耗と判断される範囲
- 例: 重い家具や家電によるへこみ、畳やクロスなどの変色、自然災害による破損、画鋲の穴
原状回復の負担費用
借主が負担する原状回復の費用は以下の通りです。
- カビや水あか: 5,000~2万円程度
- キッチン: 1万5,000~2万5,000円程度
- フローリング: 8,000~1万円程度
- 壁紙: 3万~4万円程度
負担割合
経年劣化により色が異なる場合、補修箇所を㎡単位で負担し、壁紙一面の張り替え費用から経年変化分を差し引いた部分が借主の負担となります。
原状回復の負担を抑えるポイント
- 賃貸物件での暮らし方に注意する:
- 汚れや傷が付かないように生活することが大切です。
- 特に水回りのカビや水あかはこまめに掃除し、エアコンは定期的に手入れを行いましょう。
- 入居時の状態を写真に撮っておく:
- 入居時にあった汚れや傷を証明するために写真を撮り、貸主に提出することでトラブル回避に役立ちます。
- 契約内容を確認する:
- 入居時には契約書に記載されている原状回復に関する特約をよく確認し、予期せぬ費用負担を避けましょう。
まとめ
原状回復とは、賃借人が物件を使用した結果生じた損耗・毀損を修復することを指し、経年劣化や通常の使用による損耗は貸主が負担します。契約内容や賃貸物件の状態を確認し、適切に対応することが重要です。